1週間前の今頃は富士山を下りバスで帰ってる時間だった。
無事に下山し、ご来光を拝めなかった悔しさもあったが、やり切った感と、爽やかに嬉しい記憶がかなり鮮明に残っている。
私たち一行は富士宮口からの登山で山頂まで最も距離の短いルートを登った。往復10㎞も満たない工程。楽勝だと思っていた…
想像以上に疲れた登山だった。
私の思い出の記録であるが、これから初めて富士宮ルートから登る人の参考になればと思って書いております。
登る前から疲労
私は、普段から10㎞程度の登山はよく行っている。何ならほぼトレイルランの時もある。
そのため、富士山へ行く前は、高山病だけ気を付けていれば良いと思った。
1週間前からアルコールを断ち、睡眠不足にならぬよう決まった時間に寝て睡眠時間も十分にとって体調を整え万全の体調で家を出た。
ただ、ここから予定が狂ってくる。
渋滞。神戸から朝6時半出発で午後3時には、登山口につく予定が、午後5時。
5合目登山口で身体を慣らす時間がすこぶる短くなった。この時点で標高2400m。
正直飛行機以外で体験した標高の最高位だったと思う。到着時点で頭がポーっとしているのが分かった。マジか?
軽食をもらい食べて少しは回復。本来なら1時間は慣らしの時間があるが、多分登り初めまで1時間もなかった。
バス酔いか?ここまで登るのに1時間弱山道クネクネを登ってきたせいか?朝から降っている雨?低気圧のせい?そう言い聞かせるがどう考えてもやっぱ違う。高地に慣れていない。
登る前に負けてはいけない。一緒に来た皆にも迷惑がかかる。
実は上る前から身も心も疲労していた。
登り始めると慣れる
天気予報では、複数の低気圧に囲まれて雨予報であった。
しかし登り始める前から雨はやみ、所々雲が晴れて景色が見えることも多かった。
良い景色のおかげか、ずっと登りのせいか心拍数&テンションも上がりぼーっとした感じも消失。登り始めて10分で登りきれるのか?という当初の不安も消し飛び、非常に楽しくなってきたのでした。
雨もやみ、雲の上に虹なんか見えちゃったらそりゃ楽しくないはずがないです。
山小屋ごとに少し休憩。小屋と小屋の間が長ければ途中で休憩して約3時間登ったところで、元祖7合目の小屋へ到着。
ここが今日の宿泊場所らしい。たしか午後8時半ごろだったかな?
標高は3,010mまで来ていた。
山小屋での異常事態
合羽を上下着たまま約3時間登り続けたおかげで、全身異常な汗。
ズボンは汗でビシャビシャ…やばい、ズボンの着替えないぞ。
明日寒さ対策で履くはずのスパッツをここで履くと、汗を吸って大変なことになってしまう。どうしよう…
体温で乾くまで寝袋で過ごそう。そうだ、そうしよう。
そう決めたとたんある事に気づく。座ったとたん異常な疲労と頭がぼーっとした感じ。
確実に登る前よりぼーっとしている。まぁ朝4時起きでここまで寝ていないから疲れたのだろう。そう言い聞かせて上着を着替える。あー汗のかいていない服は気持ちがいい。
もう寝なきゃ。
午前零時に出発と聞いている。明日と言ってもあと3時間しかない。寝なきゃ。
寝なきゃ。寝なきゃ。寝れない…
こんなハードに登ってすぐ寝れるわけないじゃないですか。
外に出て気持ち行く気を吸って気分転換だ。
めちゃくちゃ空がきれい。晴れて星がたくさん。最高だ。本当に最高の空だ。しばらく空を眺めていよう。
んんんんん?寒い。寒すぎる。何度?やばい5度もない。小屋のスタッフさん厚着してるじゃない。あごがガタガタして止まらない。ヤバイ。ヤバイ。1分も立たずに小屋の中。
もう皆寝袋で休んでいる。そうだよなあと3時間だもの。
私も寝袋に入る。ズボンの汗が気持ち悪い。気にしない。寝るぞ。寒い。頭まで寝袋をかぶる。寒い。あーウトウトしてきた。寝れるぞ。
誰かが小屋を出入りする。目が覚める。目覚ましが鳴る。
出発30分前の合図だった。
それでも、40分くらいは寝ることができたらしい。多分。
高山病到来
出発前の異変。起きてからの頭痛がひどい。到着時の倍ぐらい。感じで言うと二日酔い。
工程で言うとちょうど半分。こんな所でリタイアできん。とりあえず根性で乗り切ろう。
最初と同様、登り始めると頭痛は軽減する。あー良かった順調だ。
1時間弱で8合目。暗く先の距離が見通せないせいか疲労はまだかまだかという感じはある。
気持ちとしては、30分歩いているが、実際は15分という事も多い。
頭痛もそれほどきつくなってない。良しいけるぞ。
足を動かす。9合目に到着すると標高は3460m。山頂までもう少し。
ここで、頭痛がひどくなってくる。
同行者が薬を持っており少し分けていただく。小屋で味噌汁を購入して薬を飲む。脱水傾向なのも気になる。味噌汁が身体に染み渡る。あーうまい。
8合目か9合目を過ぎると少し勾配が急になる気がする。登るときもストックは邪魔になる感じ。それはガイドさんも前もって教えてくれていたので大丈夫。
そこを過ぎるとあと少しだからと教えてもらっていたのでテンションは上がってくる。
良し頂上かと思ったその時、現れた9号5勺。なんやねんそれ!まだあったの。
確かに絶妙な場所。勾配もきつくなってきているので、確かに助かった。3590m。
まだ薬は効いていない。左手のしびれも出てきた。頭痛も継続。そういえば、まだ薬を飲んでからあまり時間がたっていない。薬が効くのを待つ。
その前に出発。動き始めると頭痛は紛れてくるからうれしい。ただ、しびれは取れない。
ここでトラブル。同行者が気分不良で止まってしまう。
気持ちはわかる。だってしんどいよね。ほんまに。一旦休憩。
でも頑張って何とか山頂へたどり着く。3740m。終わった。
あれ富士山ってもっと高くなかった?
最高峰は剣が峰。もう一超え。えー!!!
行くしかないよね。あと数十メートルだし。
これが大変。吹雪いており、風は強いし、霧はすごいし、急斜面だし、砂だし、幅狭いし、落ちたら死ぬし、嫌だここ怖い。
何とか最高峰まで到着。
ここまで来たら薬も効いて頭痛も半減。元気いっぱいです。
ご来光は霧で見えず。河口も霧で見えず。
てっぺんは霧しかない富士山だけど最高に達成感のある登山だった。
全員で登頂することができて最高!!
下りは、私ともう一人で猛ダッシュで下山。1時間くらい?各小屋で時間をつぶしても2時間程度で下山。こんなに短かったなんて。確かに10㎞弱だもんな。
ただ、なめていた。ただの10㎞ではなかった。
疲労度としては、30㎞以上は歩いた感覚だった。
失敗したのは、寒さ対策と着替え。
汗で寝袋は本当嫌だった。雨を想定してもう1着持ってくるべきだった。
そしてみんな無事下山で帰ることができた。
めでたしめでたし。
ある1エリアだけ真冬の世界。晴れ間にきれいな街並みや、海は見えたけど、不思議に存在する雪エリア。万年雪エリアらしい。私の中では一番感動した景色。